クリニック新聞10月号「精神科医療の歴史におけるヒーロー」

こんにちは😆🌈

先月号のクリニック新聞のテーマは「精神科医療の歴史におけるヒーロー」でした✨

精神科の歴史についてちょこっとお伝えしていきます😊

時をさかのぼり…15世紀のヨーロッパはキリストの「病めるものや貧しきものは天国に近い、神に愛される存在だ」という教えにより、精神病者たちはどこでも自由に行くことができ、神聖な存在として大切に扱われる慈しみの対象でした。

しかし、17世紀に入ると、「我思う、ゆえに我あり」で有名なデカルトなど合理主義の考え方が主流となり、「貧困は怠惰のせい、精神病者は秩序を乱す者」という扱い方をされるようになりました。

その結果、数千人を収容する巨大な施設院がつくられ、そこに貧民も精神病者も浮浪者も梅毒患者も罪人もみんな一緒にされて監禁されるようになったのです。今では考えられないことです😵

当時は「社会の中で定職についていない者」を秩序を乱す者とみなされ、社会に養われるかわりに監禁という形をとられていたのです。

そこにヒーローが現れました!

それがフィリップ・ピネルというフランスの精神科医です。

ピネルはもともと外科医でしたが、友人が精神疾患にかかったことを機に40歳で精神科医に転じました。

そして、そこでピネルが見たものは、浮浪者や罪人と一緒に何の治療も受けずに鎖につながれている精神病者たちでした。

あまりにも衝撃的な状況を目の当たりにしたピネルは、「彼らを鎖から解き放たなければ!!」と決意します。

ついに精神病者たちは自由の身となることができたのですが、それまで人を殴り殺してしまうほど暴力的と思われていた人でさえ、解放された後は落ち着いて過ごせるようになったといわれています。

このピネルの改革によって、「環境自体が治療的な力をもつ」という信念となり、現在の精神科医療に広く受け継がれることになりました。

現代では想像もつかないような話ですが、これが精神科医療の歴史です。

環境次第で回復も悪化もするということを私たち医療者も含めて覚えておかなければいけないと思います。

今回ご紹介したのはほんの一部で、実際にはもっと紆余曲折あり、問題ありの歴史でした。

ピネルについて興味が出た方はぜひ調べてみてください🤭✨