クリニック新聞5月号「家族を守るトライアングル」
こんにちは🐸
先月号のクリニック新聞についてご紹介します♪
テーマは「家族を守るトライアングル」です💡
日本で精神科に通院・入院している患者数は約614.8万人といわれています。
つまり、国民の20人に1人が精神科にかかっている計算です。
(R2 患者調査,厚生労働省)
これを聞いて、「自分の周りにはそんなにいないよ!」と思う方がいるかもしれませんが、精神科にかかっていることを周囲の人には隠しているという人が多いのです。
精神科の病気は誰がいつかかってもおかしくないし、たくさんの方が治療中の「よくある」病気であると、もっと知られるべきなのです。
しかし、実際のところ、精神障害のある人のケアは家族に依存していることが多いです。
そうなると、家族は以下の状態に陥る可能性があります。
・周囲に知られないように家族の中で解決しようとして、家族全体が孤立していく

・投げ出したくなっても「自分がケアするしかない」と投げ出すわけにいかないと感じる

・何とか受診したとしても治療には時間がかかるため葛藤が続く

支援者はたいてい「ご家族の方も気になることがあれば何でもおっしゃってくださいね」とお伝えしますが、家族は「私のことはいいので、本人を」という方が多いです。
でも、誰かのために他の誰かの人生が犠牲になるのはおかしいことです。
支援者としては、「本人も家族も同じように大切にしていきたい」と思っています。
そのために必要になるのが、本人・家族・支援者の「ケアのトライアングル」です。
このトライアングルのうち、本人は自分の精神障害とつきあいながらこれまで生き抜いてきた知恵と経験をもつ「体験的専門家」だといえます。
そして、その本人をこれまで支えてきた家族も、たくさんの知恵と経験をもっている「体験的専門家」です。
一方で、支援者に体験的知識はなく、専門的な勉強をしてきた「専門的知識のある専門家」といえます。
この三者が知恵を出し合いながら色々と相談していくことが大切なのです😀
また、家族としては「まずは本人が変わることが大切」と考えることが多いですが、実は本人の考えや行動を変えるより、家族が自分を変える方が簡単だったりします。
まずは、家族が自分らしく生き生きと暮らすことを目指して行動すると、結果として本人に良い影響を与え、本人も自分らしく暮らせるようになることも多いです。
そのために、悩んでいる家族の方はそれを一旦おいて、やってみたいことや好きなことを生活の中にぜひ取り入れてほしいです。
【引用文献】佐藤純(2024)精神障害のある子どもと暮らす家族への支援.こころの科学,236,17-22