クリニック新聞10月号「思春期について」
こんにちは🍃11月に入りました。今年もあと少しですね。
毎年恒例になってきた「なかむらクリニック新聞」のご紹介です。
さまざまな情報を気軽に見ることができる方法でお伝えできたらなぁ~と何となく始めた新聞ですが、来院された方々にお持ち帰りいただくことも多く、とてもうれしいです。今後も「堅苦しくない」をモットーに発行していきます♪
さて、10月号は「思春期」がテーマでした。関わり方を悩んでいるご家族も多いのではないでしょうか。
思春期は子どもから大人に変化しようとしている過程です。では、「大人になる」ってどういう状態なのでしょう。
大人とは、
・身体としての大人(生物学的な身体の成長)
・社会人としての大人(社会的な共同体の一員として働いたり子育てをしたりする)
・心理的な大人(分別があり心理的に成熟すること。”もっと大人になりなさい!”の大人)
の3つがそろうことが条件です。でも、これがなかなか大変です。身体はどんどん大人になっているように見えても、まだそれは第一段階がクリアしただけ。心も大人になっていくには子どもの中で葛藤や苦しみがつきものです。
こんなことはありませんか?
子どもは何か言いたいことがありそうなのに、うつむいたりぐずぐずしたりして何も言わない…話し始めてもないを言っているのかさっぱり分からないし、全身から不快感を発しているのにその理由を言葉にしない。何を訴えたいのか分からないまま急にかんしゃくを起こしたり暴力をふるってきたりする。
このような子どもと毎日接していると、大人の心は平静ではいられなくなります。
「言いたいことがあるならちゃんと言いなさい!」
と怒ってしまうのも無理はありません。
ただ、思春期の子どもは、自分の知っている言葉で自分の感情を表せなくて困っています。しかも、気持ちを表現することが苦手な子ほど、親の気持ちを測ろうとして親が困ることをします。これは、決して困らせたくてしているのではありません。
子ども達が気持ちを言葉で話せるようになるために必要なのは、「自分の気持ちなんてそう簡単に分からないよなあ」ということを前提に大人が話を聞いてくれることです。
そういう大人に出会ったとき、子どもは伝える努力を惜しまなくなります。そして、「自分の話を聞いてくれた」という体験をすることで、「人の話にも耳を傾けよう」という思いが生まれます。
今月は、岩宮恵子先生の『フツーの子の思春期』(岩波書店,2009)という本から引用しています。心理療法の観点から書かれていますが、心理職以外の方にも読みやすい文章です。子どもの心のあり方をとても優しい言葉で書かれていて、子どもの苦しみを理解するのにぴったりの本です!おすすめです☺