こころの病気を知ろう④ -適応障害-

本日のテーマ

本日は「適応障害」についてです。

心療内科や精神科を受診する方の中でもよくみられる疾患です。

適応障害は、原因を見つけて適切な対処をすれば症状が落ち着くことが期待できます。

原因

これまでブログでご紹介した「双極性障害」や「統合失調症」は原因が解明されていない部分も多かったですが、適応障害の場合は違います。

適応障害は、原因としてはっきりと確認できるストレス因が存在します。

これはどういうことかというと、「受験勉強」「失恋」「転職」「結婚」「病気」などある特定の状況やできごとによって大きなストレスを感じ、症状が現れます。

この原因はその人にとって大きなストレスと感じることなので、「失恋」など個人レベルのものから「災害」など社会レベルのものまでさまざまです。

単一のできごとだけでなく、複数のストレス因(失恋と仕事の失敗が同時に起こるなど)によって症状が現れることもあります。

症状

適応障害の症状は、通常ストレスの原因となるできごとが起こって1ヶ月以内に現れると言われています。

そして、原因がはっきりとしていることから、そこから離れることで症状が改善され6ヶ月までには治まるとされています。

ただし、ストレスとなる状況が持続している場合は6ヶ月を超えても症状が継続することもあります。

症状は人によってさまざまですが、よくみられるものとして以下の内容が挙げられます。

<情動面>

・不安

・焦燥感

・抑うつ症状

・イライラ

<身体面>

・不眠や過眠など睡眠の障害

・食欲不振

・頭痛や腹痛

<社会的・職業的・生活面での機能障害>

・遅刻や欠勤が目立つようになる

・不登校になる

・アルコールに依存する

・ひきこもりになる

症状が慢性化すると、うつ病になっている可能性があります。

また、「災害」も原因になると説明しましたが、災害・事故・犯罪・戦争などのできごとに遭遇した場合は、フラッシュバックや不眠、不安感が生じる場合はストレス反応、それが一定期間続くと心的外傷後ストレス
(PTSD)
となります。

治療

適応障害は、そのものを治す薬はありません。

しかし、抑うつや不安、不眠などの症状に対症療法的に薬を使うことによって、これらの症状が改善する可能性があります。

加えて、治療として大切になるのは①休養②環境調整です。

①休養

まずはゆっくり休むことが大切な治療です。

休養はうつ病の治療でも出てきました。

「休む」と聞くと「そんなことでいいの」「休んでもいいのかな…」と思う方もいるかもしれませんが、心の病気で休養は治療に欠かせません。

学校を休んだり休職したりして、とにかくゆっくりと休んでください。

②環境調整

ただし、単に休むだけでは治療としてあと一歩です。

例えば仕事が多忙すぎて適応障害になった方が休職すると一時的には治まりますが、復職すればまた忙しい仕事が待っています。

これでは問題が解決しておらず、同じことを繰り返してしまう可能性があります。

そうならないためにストレスの原因を除去するか遠ざける必要があります。

先ほどの例でいうと、部署を異動させてもらったり業務量を減らしてもらったりして、復帰したときに同じストレスにさらされることを防ぐよう対処します。

でも、全てのストレスを取り除けるわけではないですよね。

「退職」「病気」など現実的には変えようがないことが原因となっている場合もあります。

その場合は、それに対する考え方や受け止め方を変えてストレスへの対処能力を高めることを治療目標にします。

また、時間とともにある程度軽快することもあります。

まとめ

現代は「ストレス社会」といわれるように、たくさんのストレスにさらされていると思います。

適応障害は、有効な働きかけがあれば一般的に予後は良好です。

思い当たるストレスがある場合や上記のような症状に悩んでいる場合は、少しでも早く受診してみてください。

また、適応障害になるかどうかは本人の性格やストレス耐性にもよりますが、つらいとき話を聞いてくれる人や援助してくれる人がいるかということも重要になります。

同じストレスを感じても、助けてくれる人がいればその時点でストレスは軽くなります。

「話を聞いてくれる人がいない」という方は、病院に来てお話してくださっても大丈夫ですし行政や民間の相談機関を頼るのもおすすめです。

とにかくひとりで抱えないでくださいね。

何か気になることがあれば、当院にいつでもご連絡ください😊