こころの病気を知ろう⑨ -パニック障害-

本日のテーマ

今回のテーマは「パニック障害」です。

パニック障害は「不安障害」のひとつで、有病率は女性が男性より2~3倍高いといわれています。

”パニック”とは一体どのような状態なのか、どのような状況で起こりやすいのかみていきたいと思います。

突然おそわれる恐怖

パニック障害は、突然何のきっかけもなく激しい動悸や発汗、頻脈、震え、息苦しさ、胸部の不快感、めまいなどの身体の異常に加えて、「このままでは死んでしまう」というような強い不安におそわれます。

症状が出るの5~20分ほどではありますが、「この苦しさが続いたら死ぬのではないか」と思うほどの苦しさなので、とても長い時間に感じると思います。

日本では100人に1人くらいの割合で発症するといわれており、軽い状態も含めると非常に多くの方がこの障害に苦しんでいます。

3つの症状

1.パニック発作

上記で述べたような「自分は死ぬのではないか」と思うほどの身体の症状のことで、突然起こる激しい動悸や震え、息苦しさなどが生じます。

2.予期不安

パニック発作を繰り返すうちに、「またあの発作が起きるかもしれない」という不安をもつようになります。これが予期不安です。パニック障害の方の多くがこの予期不安を感じながら生活しています。

3.広場恐怖

予期不安が強くなると、もしパニック発作が起きたらすぐに逃げ出せない場所や助けを求められない場所を恐れて強く避けるようになります。例えば、電車や飛行機など公共の乗り物に乗れない、高速道路や橋を通ることを避ける、美容室に行けないなどがよくみられます。

このようにパニック障害が原因で日常生活に支障をきたす場合があります。

それまでは1人で楽しめていたことも楽しめなくなり、実際に発作が起きていない時間も不安が襲い、本来の「その人らしい生活」が送れなくなってしまいます。

治療

中心となるのは薬物療法です。

パニック障害は脳内の神経伝達物質のうち、精神状態を安定させる「セロトニン」と不安や恐怖心を引き起こす「ノルアドレナリン」のバランスが崩れることが要因だと考えられています。(はっきりと解明されているわけではありません)

そのため、これらのバランスを整えるためにセロトニンの働きを増強させるお薬(SSRI)を服用することが一般的です。

その他にも抗不安薬を用いる場合もあり、適切な薬剤を適切な量・期間処方していきます。

また、精神療法として認知行動療法を組み合わせることも効果的です。

例えば、電車に乗れない人にお薬を使いながら、まずは駅に行ってみる、次は電車を見てみるなどあえて不安なことに少しずつ挑戦していきます。

不安に慣れていきながら「命に別状はないんだ」という感覚を積み重ねていき、最終的にできなかったことができるようになることを目指します。

もしかして…と思ったら

自分がパニック障害だと気づくまで、その苦しみをひとりで抱える方も多いと思います。

心筋梗塞などに似た症状のため救急車で運ばれる場合もありますが、循環器や呼吸器を受診していくら身体的な検査をしても異常はみられません。

本人は死を覚悟するほど苦しいのに、身体は何の異常もない。それを繰り返すうちに、周囲からは「またか」というような反応をされることもあります。

パニック障害はお薬を飲むことで改善される病気です。

苦しみをひとりで我慢して、生活の様々な場面で制限されるような人が1人でも少なくなってほしいと思います。

もしかして、と思ったらいつでも受診してください😊

「違ったら恥ずかしい」なんて思う必要はありません🌱そういう気持ちも込みで先生はお話を聞いてくれます!

ひとりで悩む方が減りますように✨