クリニック新聞10月号「”思い通りにいかない”に揺れる子どもたち」

こんにちは😊

先月号のテーマは「”思い通りにいかない”に揺れる子どもたち」でした。

3歳までの子どもは「世界はなんでも自分の思う通りに動く」と感じています。

これは、子どもが泣いたらオムツを換えてもらったりぎゅっと抱きしめてもらったりするなど養育者からの温かい母性に触れ、安心しているからこそ生まれる感覚です。

これを心理学の言葉で幼児的万能感といいます。

だからこそ、この時期の子どもはちょっとでも思い通りにいかないとイヤイヤと激しく抵抗します。

でも、実際はどうでしょう。

全て自分の希望や夢の通りに人やものごとが動いてくれるなんてありえないことです。

時には失敗するときもあるし、自分以外の人の気持ちをコントロールすることもできません。

では、人はそれをいつどのように学んでいくのでしょうか。

そのために大切なのは思春期の時期です。

思春期は身体も心も大人に向かって大きく変化する時期です。

この頃の子どもたちは、それまで身についていた幼児的万能感の根源となっていた「温かい母性」に対して疑問をもつようになります。

思春期より前の幼い子どもにとって母性から包まれる温かさや安心感は、それはそれは素晴らしいものですが、思春期に入るとそこから一歩脱出していきたいという気持ちが生まれてきます。

今までは自分を守ってくれるものだったそれが、自分を縛り自由を奪うものとして感じられるようになっていく、でも一方で、まだまだ母性に包まれていたいという気持ちもある…それが思春期です。

だから思春期は大変なのです。

その他にも様々な気持ちの間で揺れ動いています。

そしてその揺らぎを本人すらわかっていないことが多いです。

私たち大人は自分たちの物差しで決めつけず、子どもの心の内側で何が起こっているのか思いを馳せることを忘れずにいたいですね。