クリニック新聞1月号「心を守る”すっぱいブドウ”」
こんにちは😀✨
2025年に入り早くも1ヶ月経ちました!お正月のリズムからは抜けだせたでしょうか🤭
さて、先月号のクリニック新聞のテーマは「心を守る”すっぱいブドウ”」でした🍇
みなさんは、イソップ童話の「すっぱいブドウ」のお話をご存じですか?
”お腹を空かせたキツネが、高い木にブドウがなっているのを見つけました。
「おいしそうだなぁ、食べたいなぁ」
キツネはブドウを狙ってジャンプしますが、届きません。それでもキツネはジャンプを繰り返します。
やっぱり届かない。悔しい。
意地になってジャンプし続けるキツネはだんだん悲しくなってきます。
これはもう無理だ。
そう思った瞬間、キツネの気持ちが切り替わります。
「このブドウはすっぱいに決まっている。すっぱい思いをしなくて済んだ」
キツネは口笛を吹きながらブドウの木から去っていきました。”

これが「すっぱいブドウ」のお話です。
キツネは「ブドウはすっぱいに決まってる!」と思うことで自分の心を守ることに成功しました!
私たちは、このキツネと同じように日々自分の心を守っています。
例えば、就活がうまくいかないときに「あの会社はブラック企業だったに違いない」と思ったり、

好きな人にフラれてしまったときに「付き合ってもどうせ上手くいかなかった」と思ったり。

このような考え方によって心を守る方法を心理学では「合理化」といいます。
心の守り方は他にもさまざまな方法がありますが、どれも自動システムのようなもので、自分でスイッチをオン/オフできるものではありません。
ここまで読んだ方の中には、「いやいや、私はいつだって自然体だよ?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、それもまた「”自然体”という心の守り方をしている」ということなのです。
このように人には定番でお決まりの振舞い方があります。それを私たちは「性格」と呼んでいます。
ブドウを手に入れられなかったキツネは「心を守るぞ!そうだ、あのブドウはすっぱいんだ!」と無理やり言い聞かせていたわけではありません。
気持ちが苦しくなってきた瞬間、心が勝手に「あのブドウはすっぱい」と思い始めていたのです。
このように、私たちの心はいかなるときでも自分を守るように勝手に行動する仕組みになっています。
心の守り方は人それぞれ。
何事にも動じない人もいれば、いちいち慌てふためく人もいる。すぐ理屈をつける人や何も考えないように思考を停止させる人、何かあればすぐに怒鳴る人やすぐに泣く人。
その誰もが、これまでの傷つきに対処しようとして試行錯誤の果てにたどり着いた方法をとっています。
自分には理解し難い行動をとっている人がいたとしても、その人にとっては意味のある、そうせざるを得ない何かがあるのです。
そんな風にお互い理解し合えるきっかけになるとよいですね。
【引用文献】東畑開人(2022)なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない,新潮社