クリニック新聞6月号「叱りたい大人と叱られたくない子ども」

こんにちは☀

先月のクリニック新聞のテーマは「叱りたい大人と叱られたくない子ども」でした💡

自分から進んで勉強してほしいのに、宿題をせずダラダラしている…そんな姿を見ると叱り飛ばしてでもすぐに行動させたくなるものです。

一方で、自発性を育むためには、子どもが自ら動き出すまで待つことが必要というのも多くの大人は分かっています。

では、なぜ大人は「叱って頑張らせる」ことをやめられないのでしょうか?

その理由は複数あります。

①叱らないと、叱られるから

子どもを叱らない親に対して「甘やかしている」「しつけができていない」という社会的な圧力があります。その結果、周囲のパフォーマンスとして叱らざるを得なくなる場合があります。

②即時的な効果があるように見えるから

叱ると子どもはたいていすぐに謝る、言われた通りにする、静かになるなどの行動を変えます。そうすると、大人の目には叱ることで「教育的な効果があった」「自分の願いが伝わった」と映ります。(しかし実際は苦痛な時間を早く終わらせたいだけかも)

③大人自身の欲求を満たしているから

自分の行動で相手が変わったという「自己効力感」、悪いことをした人に罰を与えたいという「処罰感情」は人間の欲求として存在し、叱ることで満たされる場合もあります。

子どもの自発性を育てるには、脳のメカニズムに秘密があります。

叱られた子どもの脳は「防御モード」で、前頭前野の働きは低下します。

一方で、「ほしい」「やりたい」という気持ちが強いときは「冒険モード」で、前頭前野が活発化しています。

防御モードの脳は、危険的状況において「戦うか、逃げるか」という本能的な反応を引き起こす状態で、脳のメカニズム上このモードと冒険モードは両立することはできません

命の危険を感じているときに、新しいことに挑戦しようという気持ちになれるか…と想像すると理解しやすいですよね。

では、冒険モードを促進し、子どもたちが主体的に動くようになるには何が必要でしょうか。

それは「自律性」の感覚を満たすことです。

すごろくに例えると、自分でサイコロを振るからこそ楽しいのであって、他人が振ったサイコロでいくらマスを進めたとしても面白くありません。

人間の脳は、「自分がしているのか」「他者がしているのか」を明確に区別します。

「自分がしている」と脳が判断したとき、「自律性」が培われ、内発的に動機づけられてみずから進んで行動するようになります。

そのために私たち大人にできることは、自発性を「育てる」ために頑張ることではなく、自発性の芽を「邪魔しない」ことなのです。

どんな子どもにも探索し、挑戦し、学ぼうとする傾向は備わっています。

大人は過度なコントロールによって、その傾向を阻害しないことに注意しなければなりません。

選択肢を提示し自分で決定させること、もし失敗しても許容して試行錯誤の機会を保障することが大切です。